2017/09/16
歯科今昔3
こんにちは。
たなか歯科クリニックの歯科医師、三浦です。
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みなさんは虫歯になったことがありますか? 恥ずかしながら私は去年、生まれて初めての虫歯になりました。2 7年間ずっと虫歯ゼロで過ごして来ましたので、とても残念でした 。
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さて、虫歯が発見されたとき、ほとんどの方は今すぐ治したいと考 えることでしょう。そして歯医者に来、椅子に仰向けに寝て、治療 を受けるのでしょう。
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17世紀に近代歯科医の祖ピエール・フォシャールが、患者様を寝かせ て治療する方法を考案するまで、患者様は床にごろ寝させられまし た。そして歯医者は患者様の頭上から、 あるいは胸の上に座り込んで、はたまた馬にまたがりながら治療を していたのでした。
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ピエール・フォシャールは歯科医の祖ですが、同時に治療用椅子( チェア)の創始者でもありました。
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そして時代は下り、1962年(昭和37年)、シアトル万国博覧 会に大勢の人々が押しかける事態になりました。この年はケネディ 大統領が「アメリカは10年以内に人類を月に送る」と宣言した翌 年のことで、人々は博覧会々場に設置された、宇宙船の実物大模型 に釘付けになりました。
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しかし注目すべきは宇宙船ではなく、その操縦席。もっといえば席 そのものです。
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それは宇宙飛行士のために設計されたのではありませんでした。歯 医者の診療チェアとして作られたのでした。このチェアは1960 年に開発され、開発者は米工業デザイナー協会の金メダルを受賞し たもので、それが何の因果か、宇宙空間へと飛び出すものとして鎮 座することとなったのです。
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自動で背もたれが倒れ、ボタンひとつで患者様を上下させられる。 開発当時、リクライニングチェアの域を出ない代物であっても、今 や診療用のチェアは歯医者にとっては欠くべからざるものとなりま した。
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歯医者に来て、チェアを倒して治療が進む。そんな当然のことも、 翻ってみるとさほど深い歴史もなく、しかも宇宙という一見無関係 な分野と密接に結びついています。
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▲上図は当院の治療用チェア。
右のコードがたくさん伸びている部分にはボタンが多く並び、チェアの上げ下げ、背もたれを倒し、治療用器具の回転数を決められる。
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今度、歯医者に行かれる際には、一度この話を思い出し、夜にはア ポロの着陸した月を眺めてみてはいかがですか。付言すると、 今年の十五夜は10月4日だそうです。
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たなか歯科クリニック 歯科医師 三浦唯一
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