2014/10/15
受け口の早期治療
前回出っ歯について書きましたが、その反対は「受け口」です。専門的には「反対咬合(はんたいこうごう)」とか「下顎前突(かがくぜんとつ)」と言います。これは、下あごが上あごよりも前に出てしまっている状態のことです。こうなると、食べ物がうまくかめなかったり、発音がしづらくなったりします。顎を自由に動かすことができないため顎の関節に負担がかかることもあります。もともと遺伝のせいで下顎が上顎より出ている人もいれば、骨格は正常ですが、前歯の角度の違いにより反対咬合になってしまう場合もあります。
大人の場合は、歯を抜いて、十分なスペースを作ってから歯を動かす歯科矯正が一般的ですが、重度の場合は、下あごの骨を手術で切って、後ろに下げる「外科矯正」が必要なこともあります。しかし、子どもの治療の場合はまた違ってきます。
上あごの成長発育は、7歳〜9歳にピークを迎え、その後、思春期に下あごの成長発育がピークになります。このように上顎と下顎の成長のピークにズレが有るため、治療時期が大切になります。お子さんが受け口かな?と思われたら迷わず矯正専門医を受診することをおすすめします。歯の生える角度の問題なら比較的簡単な装置で改善する場合があります。
さて、3歳〜6歳くらいまでのお子さんの受け口の治療によく使われるものに、ムーシールドと呼ばれる装置があります。これは透明なプラスチックでできた治療装置ですが、毎晩寝ている間に口に入れておくもので、通常は、数か月から半年で改善が見られます。しかし、治った後にも、約1年間使い続けることで、後戻りを防ぐことができます。もちろん、この治療法で遺伝性の受け口も100%治ることは保障できませんが、かなりの確率で治ります。
すべて永久歯になってからですと、固定式の装置が一般的です。取り外し式の機能矯正装置と言われる装置も使用することがあります。矯正治療後に反対咬合になってしまう場合があります。ほとんどが遺伝性の反対咬合であることが多く、身体の成長が止まるまでは矯正治療が終わっても注意深く経過観察することが大切です。
千種区にも小児矯正を得意とする歯科医院が多くあります。お子さんの受け口のことでお悩みの方も多いと思いますが、まずは歯医者さんとよく相談し、お子さんに合ったベストな治療方法を選んでください。
月別アーカイブ
このページの上へ ▲