歯科今昔7
こんにちは。
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お久し振りです。歯科医師の三浦唯一です。
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「上を向いて歩こう(sukiyaki)」で有名な歌手、坂本九さんが御巣鷹山の事故で亡くなったことを多くの方はご存知であると思います。航空機事故で亡くなった方の身元を判明させる手段の一つに、歯を見る、という方法があることを、耳にしたことがある方もいらっしゃるかも知れません。
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人によって顔や性格が違うように、口の中、歯の状態もまた一人々々で異なります。特に航空機事故の場合は遺体の損壊が激しいため、普通の検死は出来ない場合があります。私の祖母の友人は、中華航空機墜落事故で亡くなりましたが、家族でさえも遺体は見ない方が良いと言われたそうです。
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不慮の事故と同じく、犯罪にもまた口の中の情報は貴重です。
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1849年アメリカで某医師が殺される事件がありました。しかし医師の遺体は焼却炉で焼かれていました。丈夫なはずの頭蓋骨でさえも表面を炙られ、原型をほぼ留めない状態でした。どうやって遺体が本人のものであると判明したか。それは、頭蓋骨の最奥で炎から守られた歯でした。
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医師は地元の名士で、歯を治すため歯医者に通っていました。焼却炉からは焼けずに残った「人工の歯」が回収されたため、警察はこれを持って歯医者へと向かいました。そして診療録から、その歯が間違いなく医師のために作られたものであると確定し、遺体が本人であると決定付けられたのです。
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似たような話はもっと昔にもあり、1194年のインドでも、戦いに敗れた貴族の遺体から回収された「偽物の歯」で本人を特定したという話が残っています。
冒頭の坂本九さんは、普段から身につけていたペンダントで本人確認をしたらしいのですから、肌身離さぬもので身元確認をするのは、洋の東西を問わないことであるようです。
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こうした手法はのちに法歯学という分野として、1926年ウィーンで確立されてゆくのでした。
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事故や犯罪とは関係ないところでも歯は役に立っています。証拠ではなく反証として。1918年、ロシア皇帝ニコライ2世は、ロシア革命の露と消えました。一族も処刑されここにロマノフ王朝の血統は絶えましたが、皇帝の娘と自称する者がヨーロッパやアメリカで名乗りを上げたのです。
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キリストの聖骸布やルイ16世の血を浸したハンカチと同じく、非常にロマンそそる話です。そして同じく、証拠に乏しく、肯定も否定も出来ない状態でした。
それを打開したのがロマノフ王朝おかかえ歯科医でした。彼は歯の治療のため皇帝の子供たち一人々々の石膏歯型を保存していたので、本物の皇帝の娘と歯並びのまるっきり違う偽物を見分けることが出来、この話には終止符が打たれたのです。
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歯の状態が一人々々異なるのは現代でも同様です。また歯並びも個々人により異なります。どこに虫歯があり、どこに問題があるのか。知りたい方は是非とも一度ご来院ください。
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▲パノラマ画像。私のです。歯の表面からでは分からない、内部の異常を確認できます。現代の技術です。
たなか歯科クリニック 三浦
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