TCHという癖、心当たりがありませんか?
こんにちは! 千種区たなか歯科クリニック 歯科医師の満田誠です。
患者様のお悩みをうかがっていると、その症状が ある要因に由来していることが多いのを感じます。
それは……「噛みしめ」です。
近年、歯科界でも話題になっている『TCH(Tooth Contacting Habit)』というものがあります。日本語でいうと”歯列接触癖”となり、上下の歯を接触させる癖のことです。東京医科歯科大学の顎関節症治療部での治療を受けられる患者様に多く認められたことにより、部長の木野孔司准教授によって提唱されました。
さて、『TCH』とはどんなもので、それの何が良くないのでしょう?
ふだん何もしていない時には、上下の歯は接触しておらず離れています。唇が閉じていても、上下の歯には1~3mmの「安静空隙」と呼ばれる隙間があるのが普通です。実は、会話や食事をする時に 歯は瞬間的に触れ合うだけで、接触時間を合計しても1日でわずかに20分以下なのだそうですよ。意外ですよね!
ところが、この接触時間が普通より長い方があります。それが『TCH』なのです。
TCHの方は、何かに集中して作業をしていたり、考え事をしている時、緊張する場面などで、上下の歯を触れたままにしています。加えて、パソコンや携帯に没頭している時、読書やテレビを見ている時などでも、かなりの頻度で歯を接触させている事があるようです。これが、日常化してくると様々な症状を引き起こすのです。
良くないこと① 顎関節症
例え強く咬んでいなくても、上下の歯を軽く接触させただけで口を閉じる筋肉は働いてしまいます。ですから、上下の歯が接触していると、その間 筋肉は働き続けて疲労してきます。
また、口を閉じる筋肉が働くと、顎関節は押さえられることになるため、関節への血の巡りが悪くなり、正座を続けたときの足の痺れと同じように、感覚が敏感になって痛みを感じやすくなってしまいます。
ひいては、その疲労・血流障害が、首や肩のコリにつながることもあるようです。
良くないこと② 歯周組織の変化
歯の歯根表面にある歯根膜も、軽く上下の歯を接触させただけで神経の圧迫・血流障害は起こります。それによって、知覚過敏症状・咬合痛・歯の浮いた感覚・動揺、やがては歯周病の進行にもつながっていきます。
良くないこと③ 歯の磨耗
必要以上に歯が接触することで、歯のすり減りも生じてしまいます。咬合面や歯と歯茎の境界に、象牙質の露出を認めるTCHの患者様をよく見かけます。これも知覚過敏の原因となります。
ご自分でも、思い当たることはありませんか? そうです。TCHの方は、決して珍しくはありません。何を隠そう、これを書いている 私自身もそうなのです。つい、集中して治療をしている時は歯を「クッ」と噛みしめてしまいますし、顎関節症の傾向もあって長時間は口を開けられません。
では、TCHの方はどうすれば良いのでしょう?
ご安心ください。それはあなた自身で改善できるのです。
それは、「自身にTCHがあるのを自覚する」ことです。上下の歯が接触していたら、それをやめるように意識するだけで、かなりの症状は改善できます! 私も気をつけています(笑)
どうしても、無意識下で行ってしまう噛みしめである、就寝中の”歯ぎしり”による症状は自己コントロールが難しいため、マウスピースでの治療を考慮することがありますが、日中のTCHを注意することで夜間の歯ぎしりも軽減される可能性も考えられています。
TCHは「癖」です。問題が無ければ、特に気にする必要はありません。しかし、上記のような症状がTCHに原因がある方は、注意して改善していきましょう。
TCHについてお悩みの方は、どうぞご相談くださいね♪
千種区 たなか歯科クリニック
歯科医師 満田誠
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