人体ってすごい!抜歯後の治癒
こんにちは! 千種区たなか歯科クリニック 歯科医師の 満田 誠です。
あの凄まじい猛暑が過ぎ、すごしやすい気温になってきましたね。10月になって、院内もハロウィン一色! あちこちに可愛いオバケや魔女たちが飾られています♪
はい。ところで、今回は 『歯を抜いた後の治癒のしかた』 というお話です。
凄いと思いませんか? かつて、歯が存在した場所。それが、抜いてしばらくすると 穴が埋まり、そこに何事もなかったかの様に キレイな歯茎に治ってしまう!!☆☆☆
人体の他の部位では、ここまでの大きな欠損が しっかり自然治癒する事ってありませんよね! 当たり前のことの様ですが、人体のもつ神秘的な素晴らしさだと思うのです。
その治癒過程を解説しますと、
① 抜歯した当日、血餅ができる
抜歯窩(歯を抜いた後の凹み)に流れ出した血液がゼリー状に固まり、“血餅(血の塊)”で満たされます。血餅はカサブタの役割を果たし、露出した骨を覆い守ってくれます。
② 1週間後、肉芽組織に変わる
血餅は、周りの骨から血管が入り込み、やがて肉の塊のような “肉芽組織” に変化していきます。
③ 2~3週間後、骨が再生し始める
肉芽組織は、経過とともに線維化して、段々 “線維性結合組織” になり、幼若ながら骨が再生していきます。
④ 1~3ヶ月後、抜歯窩が歯肉で覆われる
それまで徐々に埋まりつつあった凹みが、歯肉でほぼ覆われます。これで表面的な治癒は完了しますが、内部の骨はまだ成長中です。
⑤ 半年~1年後、抜歯窩の内部まで成熟した緻密骨ができ、治癒終了
完全に歯肉・骨の治癒が完了。レントゲン撮影をしても、抜歯の痕跡が分からないくらいに回復します。
……と、いう経過で治っていきます。
先ほどの「なぜ、歯を抜いた痕は、これほど綺麗に治るのか?」という答えは、「抜歯窩という、血餅ができやすい骨に囲われた凹み」という特殊な状況がポイントとなるのです!
治癒過程にとって、これほど好条件な所はありませんものね♪
そして、最後にもう一つ。
治癒のメカニズムを考えると お気づきでしょうが、『抜歯後の治りを良くするためには、抜歯窩に血餅をしっかり作る』 のが大切なことですよね。血餅は、いわば絆創膏であり、歯茎や骨をつくりだす卵ですから。
よって、抜歯後に気をつけていただきたいのが、「抜いた所をいじり過ぎない」 「抜歯当日に強くうがいをし過ぎない」です。せっかくの血餅が取れる要因となってしまいます。
もし、血餅が正常にできず、骨が露出したまま感染を起こしてしまうと “ドライソケット” と呼ばれる炎症を起こしてしまい、抜歯後の痛みが長引いてしまっては大変です(>_<)
たとえ、食べ物が詰まってしまっても大丈夫♪ 体はそれが異物であると、ちゃんと分かっています。組織が治ってくるにしたがって、きちんと排出されますからご安心を♪
千種区 たなか歯科クリニック
歯科医師 満田 誠
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