「犬歯」のはたす、意外で凄い役割

「犬歯」のはたす、意外で凄い役割

こんにちは! 千種区たなか歯科クリニック 歯科医師の 満田 誠です。

さて、今回の話題にあがった「犬歯」。
ご存じのように、先が尖がっている独特の形をした前歯です。その名からイメージできる通り、人間が動物から進化していった名残りで、本来は獲物に嚙みついて切り裂く牙だった歯なのですが、今はもうそんな事をする現代人はいませんよね(笑) 
だから、犬歯がいまだに動物の牙のように尖っている必要は無いように思えるのですが……、実はそこには重要な秘密があったのです!!

それは、犬歯が 『奥歯を守る』 役割を果たしているため。

皆さま、ちょっと試してみてください。まず、上下の歯をカチッと咬み合わせてみましょう。すべての歯がだいたい当たっていますよね。では次に、咬み合わせたまま 顎を左右どちらかに動かしてみましょう。
正常な咬み合わせでは、“上下の犬歯だけが咬みあって、他の臼歯・前歯は浮いて離れている” のが理想的です。皆さまはどうでしたか?


これは、「奥歯が苦手とする、横方向からの力が過剰にかからないように負担を減らすため」に、人間が進化していって獲得した素晴らしいメカニズムなのです。

普段はあまり意識する事はないと思いますが、食事の際に我々は 顎を上下に動かすだけでなく、左右にも動かして、食べ物をすりつぶして嚙み砕きます。
しかし、実は奥歯は 「縦方向の咬む力にはとても強いのですが、横方向からの揺さぶられる力には弱い」という特性があります。その苦手な力が奥歯にかかりすぎると、動揺・知覚過敏・咬合痛・破折・などを引き起こしてしまう要因となってしまいます。

そこで、頼もしい助っ人 「犬歯」 の登場です!

前述の通り、歯ぎしりのような顎を左右に動かす運動の際には犬歯がその支点となり、奥歯に横方向からの力の負担がかかり過ぎないように、ストッパーとなって防いでいてくれるのです。
そのために、犬歯の歯根はすべての歯の中で一番太くて長く、頑丈にできています。
先が尖った形をしているのも、かつて牙だった名残りだけではなく 「顎の動きをガイドする役割」 のため。上下の犬歯の尖った面で咬みあった状況で、左右にスライドして動くことで臼歯の離解を導きます。

この犬歯が、奥歯を守るために果たすメカニズムを 『犬歯誘導』 と呼びます。

ところで、先ほど皆さまに犬歯誘導を体験していただきましたが、それができなくて 顎を左右に動かしても 奥歯が咬み合わさったままだった方もいたのではないでしょうか? 
咬み合わせや骨格によっては(八重歯などが代表的ですね)残念ながら犬歯誘導がうまく機能せず、奥歯に普段から過剰な負担がかかってしまう状況があります。これを「咬合性外傷」と言います。
このような傾向にある方は、矯正治療やマウスピースなどで、大切な奥歯を咬合性外傷から守っていくことをお勧めします。

千種区 たなか歯科クリニック
歯科医師 満田 誠

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