歯ぎしりと、うまく付き合っていこう!
こんにちは! 千種区たなか歯科クリニック 歯科医師の 満田 誠です。
今回は、そんな身近にある『歯ぎしり』についてのお話です。
たかだか歯ぎしり、と思ったら大間違い! 歯ぎしりは、口腔組織にとって 様々なトラブルを引き起こすものです。診療の中でも、患者様の訴える痛み・違和感の症状の多くが、歯ぎしりに起因している事がよくあります。
一概に、歯ぎしりといっても、
・グライディング …… 顎を左右に動かして、ギリギリと歯をすり合わせるもの
・クレンチング …… 顎を動かさずにグッと咬みしめて、食いしばるもの
・タッピング …… 上下の歯を、カチカチと咬み合わせるもの
と、3つのタイプに分類でき、この総称を 『ブラキシズム』 と言います。実際にはそれぞれが単体ではなく、混ざって起こる場合が多いようです。
このブラキシズム、実は………誰にでもあります!(◎_◎;)
「えっ!私は歯ぎしりなんかしてないですよ~」という そこのあなたも、実は程度・頻度の違いこそあれ、ほとんどの人が自覚も無しに行っているものなのです。
よって、ブラキシズムは 多かれ少なかれ誰でもしている 一種の「癖」と考えてよいでしょう。ですから、特に問題を起こさない限り放置してもかまわないのですが、時には その過大な “力” が問題を引き起こします。
例えば、睡眠中の歯ぎしりは 誰にでもみられる現象です。健康な人でも疲れているときなどには、ひと晩に1回くらいは歯ぎしりをしますが、通常は10~15分程度で収まります。
ところが 歯ぎしりが常習の人の場合、毎晩のように、それも1時間以上も続くことがあります。しかも、非常に強い力(人によって違いはありますが、自分の体重同程度~その数倍の荷重)で、歯をこすり合わせています。
そんな過大な力が歯にかかると、起きている時は 神経の反射が起きてこれを感知し、反射的に力を緩めるようになっています。ところが、眠っている時は、この機構がうまく働かず、睡眠中に歯にかかる力は、起きている時に比べて非常に大きなものになってしまいます。
また、起きている時に、歯と歯が接触している時間は、 数分~数十分だと言われているのですが、ブラキシズムのある人では、夜の間に、この数倍以上の時間、歯に力をかけていることになります。
そんな過度な力が、歯や歯周組織にかかり続けていたら……(>_<) ブラキシズムが、悪影響を生じさせる原因になるのも分かりますよね。
具体的な症状としては、
・歯の咬耗、摩耗
・歯の破折
・被せ物の脱落
・顎関節症
・知覚過敏
・咬合痛
・舌、頬粘膜の痛み
・歯周病の悪化
など、沢山あげられます。
このように、歯ぎしりは色々とトラブルの要因となるものなのですが、もう一つ厄介なのが 「歯ぎしりが無くなることはない」 という事です。
前述のように、歯ぎしりは誰にでもある一種の癖です。病気という訳ではありません。ただ、それが悪影響を及ぼすのなら、その “力” を上手くコントロールしなければならないのです。
特に、歯並び・骨格・生活状況により、どうしても歯ぎしりをしてしまいやすい方がいらっしゃいます(私自身もそうです)。そのような方は、就寝時以外であれば 自分自身の行動変容(なるべく上下の歯をくっつけない、顎の力を抜く、などの意識をもつ)、無意識下である就寝時は マウスピース装着による外力の制御、などが有効です。
自分の歯ぎしりを上手くセルフコントロールして、悪さをしないよう付き合っていきましょう!
↑ 歯ぎしりで擦り減って、噛み合わせの面が平らになっている歯
千種区 たなか歯科クリニック
歯科医師 満田 誠
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